鉢を持ち上げたとき、底の穴から白い根が何本ものぞいていませんか。
水をあげても土の表面にたまったまま、なかなかしみ込んでいかないこともあります。
どちらも、鉢の中が根でいっぱいになっている合図です。
根が回りきった鉢では、新しい根を伸ばす場所も、水や空気をためる土のすき間も足りなくなります。
そのままにしておくと、葉が小さくなったり、下葉が次々に黄色くなったりと、少しずつ調子を崩していきます。
観葉植物の植え替えは、5〜7月ごろに、今よりひとまわり大きな鉢へ移すのが基本です。
根の処理は、固まった根鉢を3分の1ほどほぐし、黒く傷んだ根だけを切り取るのが目安になります。
植え替えが必要なサイン
植え替えの目安は「2年に1回」などと言われますが、実際の時期は鉢の中の根の状態で決まります。
鉢の外から分かるサインと、抜いてみて初めて分かるサインがあります。
鉢の外から分かるサイン
次のような変化があれば、鉢の中で根が窮屈になっている可能性があります。

- 鉢底の穴から根が出ています
- 水をあげても、土にしみ込むまでに時間がかかります
- 反対に、水をあげるとすぐ鉢底から流れ出て、土が湿りません
- 土の表面が根で盛り上がり、鉢の縁に近づいています
- プラスチックの鉢がふくらんだり、変形したりしています
- 株が大きくなって、鉢ごと倒れやすくなりました
水がしみ込まない状態と、すぐ流れ出る状態は正反対に見えますが、どちらも土が根に押しのけられて水を保てなくなっていることから起こります。
1つでも当てはまり、季節が5〜7月なら、植え替えを考えてよい時期です。
鉢から抜いて分かる根詰まり
鉢から株をそっと抜いてみると、根の状態がはっきり分かります。

根が鉢の形のまま白く回り、土がほとんど見えない状態は、根詰まりと呼ばれます。
根の外側に土が見え、根がまだ鉢の内側に沿って回っていなければ、植え替えはもう1年先でも構いません。
抜くのが難しい大きな鉢は、鉢底の穴から見える根と、水のしみ込み方で判断します。
植え替えに向く時期
植え替えでは、どうしても根が傷みます。
傷んだ根がすぐに回復できる、気温が高く成長が盛んな時期を選ぶのが大切です。
| 時期 | 植え替えの向き・不向き | 理由 |
|---|---|---|
| 3〜4月 | まだ早い | 室温が上がりきらず、根の回復が遅い |
| 5〜7月 | いちばん向いている | 成長が盛んで、根が早く伸び直す |
| 8月 | 避けたい | 暑さで株が消耗しやすく、植え替え後に弱りやすい |
| 9月上旬 | 急ぐ場合のみ | 冬までに根を張る時間が短い |
| 9月下旬〜2月 | 避ける | 根の動きが鈍く、傷んだ根が回復しにくい |
寒い地域や、冬に室温が下がりやすい家では、5月の後半から6月にかけてが安全です。
新しい葉が開き始め、夜も室温が15℃を下回らなくなったころが、始めどきの目安になります。
樹種ごとの植え替えの間隔
植え替えの間隔は、成長の速さで変わります。
モンステラやポトスのように成長の早い種類は1〜2年に1回、パキラやガジュマルは2年に1回ほどが目安です。
サンスベリアのように成長のゆっくりした種類は、2〜3年に1回で足りることが多いです。
サンスベリアは根の力が強く、鉢を変形させるほど根が張ることもあるので、間隔よりもサインを優先して判断します。
買ったばかりの株は、すぐ植え替えたほうがいい?
園芸店で売られている株は、ビニールポットやプラスチックの鉢に植えられたままのことがよくあります。
見た目のために好きな鉢へ移したくなりますが、買ってすぐは置き場所の変化だけでも株に負担がかかる時期です。
5〜7月なら1〜2週間ほど部屋に慣らしてから、秋や冬に買った株なら翌年の5月以降に植え替えるほうが無難です。
すぐに見た目を変えたいときは、植え替えずに鉢カバーに入れる方法もあります。
鉢・土・道具を用意する
植え替えがうまくいくかどうかは、作業の前の準備でほとんど決まります。
特に鉢の大きさは、大きすぎても小さすぎても失敗の原因になります。
鉢はひとまわり大きく、号数で選ぶ
園芸用の鉢の大きさは「号」で表され、1号は直径約3cmです。
植え替えでは、今の鉢より1〜2号大きい鉢を選ぶのが基本です。
| 今の鉢 | 直径の目安 | 植え替え先の目安 |
|---|---|---|
| 5号 | 約15cm | 6号(約18cm)〜7号(約21cm) |
| 6号 | 約18cm | 7号(約21cm)〜8号(約24cm) |
| 7号 | 約21cm | 8号(約24cm)〜9号(約27cm) |
| 8号 | 約24cm | 9号(約27cm)〜10号(約30cm) |
いきなり大きな鉢に移すと、根が届かない部分の土がいつまでも乾かず、根腐れの原因になります。
根の量に対して土が多すぎる状態は、水を控えめに育てたいパキラやサンスベリアでは特に避けたいところです。
必要な土の量は鉢の形で大きく変わり、同じ5号でもおよそ1〜2L、7号では3〜4.5Lほどと幅があります。
鉢の商品説明にある土の容量を確かめ、少し多めに用意しておくと、足りなくなって作業が止まることがありません。
鉢の素材と底穴
鉢は、底に水の抜ける穴があることが最低条件です。
穴のない陶器の鉢や、おしゃれな器に直接植えると、底に水がたまって根が傷みます。
素焼きの鉢は側面からも水分が抜けるので乾きやすく、プラスチックの鉢は軽くて乾きにくいという違いがあります。
大型の株は、重さを考えてプラスチックや軽い素材の鉢を選ぶと、その後の移動が楽になります。
素焼き・陶器・樹脂といった素材ごとの乾き方の差や、鉢カバーと組み合わせる使い方は、観葉植物の鉢と鉢カバーの選び方で比べています。
土・鉢底石・道具
土は、市販の観葉植物用の培養土を使うのが手軽です。

水はけと水もちのバランスが観葉植物向けに調整されているので、初めての植え替えでも扱いやすくなっています。
袋の原料表示の見方や、自分で混ぜるときの割合は、観葉植物の土の選び方が参考になります。
そのほかに用意するものは次の通りです。
植え替えの手順
道具がそろったら、晴れた日の明るい時間帯に作業します。

室内で行う場合は、床に新聞紙やシートを広く敷いておきます。
土がたっぷり湿っているときより、乾き気味のほうが鉢から抜きやすく、根もほぐしやすくなります。
作業の直前に水をあげないようにしておく程度で十分です。
鉢を横に倒し、株元を手で支えながら、鉢の縁を軽くたたいて抜きます。
プラスチックの鉢なら、側面を手でもむと根鉢が外れやすくなります。
固まった根鉢の底と側面を指や割り箸でほぐし、古い土を3分の1ほど落とします。
回っていた根は、軽く広げるようにほどきます。
黒く変色した根、指でつまむと皮がむけるようにぶよぶよした根を、清潔なはさみで切り取ります。
白くて張りのある根は残します。
底穴に鉢底ネットを敷き、深い鉢なら鉢底石を2〜3cmほど入れます。
その上に土を少し入れ、株を置いたときの高さを調整します。
株を鉢の中央に置き、周りから土を入れます。
割り箸で土をつつきながら根のすき間に行き渡らせ、鉢の縁から2〜3cm下まで土を入れて、水やりのときに水がたまる余白を残します。
最後に、鉢底から水が流れ出るまでたっぷり水をあげます。
流れ出る水が濁らなくなるまで続けると、細かい土の粉が抜けて水はけがよくなります。
ただし、サンスベリアなど葉に水をためる多肉質の種類は例外で、植え替えた当日は水をあげず、1週間ほどたってから水やりを始めます。
根の傷を乾かしてから水を与える理由は、サンスベリアの育て方の植え替えの項目に書いています。
株を置く高さは、元の鉢で土に埋まっていた位置とそろえるのが基本です。
幹を深く埋めすぎると、埋まった部分が蒸れて傷むことがあります。
根の処理は、どこまでやるか
根をどこまでほぐし、どこまで切るかは、植え替えでいちばん迷うところです。
基本は「傷んだ根は取り、元気な根はできるだけ残す」です。
残す根と、切る根

回りすぎて鉢の底でとぐろを巻いた長い根は、3分の1ほどを目安に切り詰めても構いません。
ただし、根を切った量が多いほど、植え替え後に葉がしおれやすくなります。
根鉢を崩さない「鉢増し」でよい場合
株が弱っているときや、時期が少し遅れたときは、根鉢をほとんど崩さずにそのまま大きな鉢へ移す方法があります。
これを鉢増しと呼びます。
根を傷めないので株への負担が小さく、植え替え後にしおれる心配も少なくなります。
根腐れの心配がなく、根がまだ白く元気な株なら、鉢増しで済ませるのも十分に有効な方法です。
古い土が残るぶん、次の植え替えでは根鉢をしっかりほぐして土を入れ替えます。
冬に根腐れが見つかったら
冬は植え替えに向かない時期ですが、幹の根元がやわらかい、土からにおいがするといった根腐れのサインが出たときは、春まで待てないこともあります。
その場合は、黒く傷んだ根だけを取り除き、元気な根のまわりの土はあまり崩さずに、新しい乾いた土に植え直します。
鉢の大きさは上げず、同じか、ひとまわり小さな鉢を使います。
植え直したあとは暖かい部屋の明るい場所に置き、水はしばらく控えます。
葉や株元の様子から根腐れかどうかを見分ける方法と、立て直せる株の境目は、観葉植物が枯れる原因を症状から探すに症状別の早見表があります。
植え替えのあとの2週間
植え替えた直後の株は、根が傷ついて水をうまく吸えない状態です。

この期間の置き場所と水の加減で、植え替えの成否が分かれます。
植え替え後の過ごし方
当日:鉢底から流れ出るまで水をあげたら、あとは触りません(サンスベリアなど多肉質の種類は当日の水を見送ります)
1〜2週間:直射日光の当たらない明るい日陰で、エアコンの風が当たらない場所に置きます
次の水やり:土の中まで乾いてからです。
植え替え前より間隔が空くことが多くなります
肥料:新しい根が伸びる1か月後くらいまで与えません
葉が数枚しおれても、新しい芽が元気なら様子を見ます
植え替え直後に葉がしおれたり、下葉が1〜2枚黄色くなったりするのは、根を触った影響でよく起こります。
ここで水を足しすぎないことが大切で、土が湿っているうちは水を待ちます。
新しい葉が開き始めたら、根が落ち着いた合図なので、元の置き場所へ戻していきます。
植え替えでよくある失敗
植え替えの失敗は、作業そのものより、鉢の選び方と植え替えたあとの管理で起こることが多いです。
一度に何号も大きな鉢に移すと、土がいつまでも乾かず根腐れにつながります
穴のない器に直接植えると、底に水がたまります
10月や11月に植え替えると、冬のあいだに根が回復せず弱ります
植え替えた当日から日当たりのよい窓辺に置くと、葉がしおれます
植え替え直後に肥料を与えると、傷ついた根をさらに傷めます
幹を元の位置より深く埋めると、根元が蒸れてやわらかくなります
どれも、鉢をひとまわりにとどめる、暖かい時期を選ぶ、植え替え後は明るい日陰で休ませる、の3つを守れば避けられます。
鉢を大きくせずに植え替える方法
植え替えは、株を大きくするためだけの作業ではありません。
部屋の広さに合わせて今の大きさを保ちたいなら、根を整理して同じ大きさの鉢に植え直す方法があります。
手順は通常の植え替えとほぼ同じで、根鉢の古い土をしっかり落とし、長く回った根を3分の1ほど切り詰めます。
空いた場所に新しい土を入れて、同じ鉢に植え戻します。
根の量が減るぶん、地上の葉や枝も少し減らしておくと、水の吸い上げと葉からの蒸散の釣り合いがとれて、しおれにくくなります。
地上部を減らすときの切る位置は樹種で違い、パキラは成長点のすぐ上(パキラの剪定)、モンステラは節と節のあいだ(モンステラの剪定)が目安です。
鉢を大きくしなければ、株の成長もゆるやかに抑えられます。
天井や部屋の広さが限られているなら、鉢のサイズアップは「必要になったら」で十分です。

コメント